星空公団
〜街と星空の共存を目指して〜

『第五回まちかど星空観望会ワークショップ』レポート

春の嵐による強風のなか、「第五回まちかど星空観望会ワークショップ」がつくばで3月31日に開催されました。 交通機関の運行状況により開始時間が30分ほど遅れましたが、天文関係の職業の方や大学の天文サークルの方、 地元の天文同好会の方など計13名が参加し、活発な意見交換をすることができました。

まず初めにワークショップその1として、「まちかど星空観望会」への理解を深めるために、 そのねらいや定義、そして現在までの展開状況についての話がありました。 星空公団(小野間)から駅前などの街角で通りすがりの方々に天体を観てもらうことが、 星空を取り巻く環境にどのような影響を与えるのかについて、 星空公団が行っている「まちかど星空観望会の実施・支援」や「夜空の環境調査の実施・発表」という活動を含め、 説明がありました。 私たちが美しい星空を眺めるためには、まちかど星空観望会を通して人々に星空への興味を少しでも持ってもらい、 その人たちの新たな意識と公団による環境調査の結果をもとに、 過度に明るくなった夜空の改善を呼びかけていく必要があるのだと感じました。 次に、国立天文台(大川)からまちかど星空観望会の定義について、 「街角で不特定多数の人に天体を観る機会を提供すると同時に、望遠鏡で星をのぞいてもらうことを通して、 人との出会いや人とのコミュニケーションをも楽しむ天体ウォッチングのスタイルのひとつ。」 であると話がありました。そしてディスカッションとして3つの疑問を投げかけ、 それぞれの疑問に対する参加者の方々の様々な意見が出ました。その中のいくつかを以下で紹介します。

Q1.たくさんの人に星を見せるって、いいこと?
〈いいこと〉
A1.自分が星を好きだから、その気持ちを人と共有したい。少し自己満足な気もする。
A2.自分のためですが、ライトダウンのイベントに賛成する人を増やしたい。 そしてライトダウンされた星空を観たい。

〈もし悪いことだったら…〉
A .夜更かしをする子どもが増えてしまう…。
Q2.まちかど観望会って、予告したほうがいいの?
〈したほうがいい〉
A1.予告して人が来てくれれば、今度はその人たちに広報をしてもらう。もし人が来なくても、 自分たちの経験値は上がる。
A2.人を集めたいときだけ予告をする。興味のない人向けの観望会の場合、予告はしない。

〈する必要はない〉
A .予告をしないというよりも、予告をしたくてもできなかった。 しかし予告をしないと、まちかど星空観望会の効果は大きくなる。 なぜなら、いつもと変わらない帰宅途中に何気なく観望会に立ち寄って土星の輪を観られたら、 その人の感動は倍になるから。そして、中止のときに気が楽である。
Q3.どうすれば続けられる?
A1.団体でやるか、個人でやるかに分かれるが、やはり続けられるシステムとしては団体がいい。 しかしどちらにも共通していえるのは、無理はしなくていいということ。
A2.学生のシステムや会社のシステムはいいシステムだが、卒業などにより人が抜けていく分、 入ってくるかが難しいところ。
A3.「一組織一目的」というように、一つの団体は一つの目的を果たせば終わりでいい。 もし自分のシステムが続かなくても、その後いろんな人が出てきてくれればいい。
A4.掲示板やメーリングリストを活用し、イベントの場所や人数などの情報を共有する。 すると、「近所だから…」「この人数じゃまかないきれないな…」 という気持ちから自ずとメンバーが集まってくる。
A5.自分たちの観望会をやりたいという気持ちに人は集まってくる。そして続いていく。

ワークショップの様子1

最後に星空公団(原田泰典)から現在までの全国展開として、北は札幌、 南は松江のまちかど星空観望会の紹介がありました。 そのうちのほとんどは駅前でのものが多いですが、 ショッピングセンターや店・商店街と提携して行われている観望会もありました。 このように全国的にまちかど星空観望会が広がっていった理由には、 観望会を趣味の分野の一つとしてとらえるような傾向があるのではないかという意見があり、 またこれから先、通算では増えていくのではという意見もありました。

ワークショップその2では実際の開催例4つについて、それぞれの実施者から発表が行われました。 最初に柏市星空観望会(原田賢一/IRAF研究会)では、TXたなか駅前の観望会の様子や、 大型商店と協力した観望会の企画や実施についての発表があり、 多くの人に対応するための詳細なタイムラインの作成などのノウハウがうかがえました。 次に飯田橋RAMLA観望会(松元/東京理科大学天文研究部)では、 3台の望遠鏡にスタッフを1人ずつ配置しての星空解説や双眼鏡の貸し出し、 プラネタリウムの上映といった観望会の状況報告がありました。 また、人が捌ききれなくなった場合には望遠鏡に古いビデオカメラを取り付けて 大人数で見られるようにするという工夫の様子が見られました。 そして東戸塚駅前観望会(小野間/星空公団)は横浜初のまちかど観望会ということで、 土曜の夕方が狙い目の住宅街で行われたそうです。 他にも白い望遠鏡は目を引くし、大きく見えることや初心者には倍率の低い方が向いていること、 経緯台と赤道儀の使い分けについてなど有用な知識の説明がありました。 最後にお台場観望会(檜木/株式会社ビクセン)では、 お台場の埠頭前公園で年に一回開かれる海の日祭りに参加した様子や、 他のイベントである伝統的七夕ライトダウンの様子、皆既月食時の観望会の様子について報告がありました。 どのイベントも多くの人が集まりましたが、その人たちのほとんどが星を見に来たわけではないという点で、 意義のあるまちかど観望会になったのではないかという話がありました。

ワークショップその3では、学んだ知識を実践に活かすということで、 実際にTXつくば駅前広場でのまちかど観望会が予定されていました。 この場所では昨年の3月に「つくば駅前まちかど星空観望会」を行う予定でしたが、 震災のために延期となりました。 今回、それから1年が経ち、同じ場所で観望会ができることを期待しましたが、 外に出てみると風は止んでいるものの空はどんよりとした雲におおわれていました。 実際に西や南の空の開け具合などの場所の確認はできましたが、 つくば駅前での星空観望会は再び延期ということになりました。

ワークショップの様子2

最後にワークショップの参加者ほとんど全員で懇親会が行われました。 終始、和やかなムードで、望遠鏡などの機器についての話や各々が行っている観望会の実際の裏話、 これからの機会に活かしていけるような具体的なアドバイスなどもありました。 今年は5月21日に大きな天文ショーである金環日食があるため、 それに向けて最寄りの駅やSAで金環日食が見られるところはないかなどの話もでていて、 興味深い会となりました。

『第五回まちかど星空観望会ワークショップ』開催のご案内

概要

駅前や市街地で通りがかりの人に呼びかけて行う星空観望会 (まちかど星空観望会)の,情報交換やノウハウ紹介,それにこれから始めよう とする人たちへの呼びかけを狙ったワークショップを開催します. 座学と実践(観望会)の両方から学びます. ふるってご参加ください.

1.目的

  • まちかど星空観望会の情報交換
  • まちかど星空観望会をこれから始めようとする人たちへの呼びかけ
  • 参加者のノウハウ紹介・スキルアップ

2.対象

まちかど星空観望会を既に開催している,また開催に興味を持っている個人および団体

3.開催日

2012年3月31日(土)14時〜21時頃

4.場所

TXつくば駅周辺会議室(ワークショップ)
つくばエクスプレスつくば駅前(まちかど星空観望会)
観望会会場の様子


大きな地図で見る

5.定員

約20名

6.参加費

1,000円程度/学生 500円

7.スケジュール

14時〜受付開始
15時〜ワークショップその1
  • 事務連絡&ワークショップのねらい(事務局)
  • まちかど観望会とは?
  • まちかど観望会のワンポイント
  • 開催例紹介
19時〜ワークショップその2
つくばエクスプレスつくば駅前にて実際にまちかど観望会を開催します.
20時〜懇親会
※詳細プログラムについては後日掲載させていただく予定です.

8.参加申し込み方法

E-mailに以下の内容を記入して,事務局までお申し込み下さい.
  • 氏名
  • 所属(もしくは個人)
  • 連絡先E-mail
  • 懇親会参加の有無

9.問い合わせ・申し込み先

星空公団 まちかど星空観望会ワークショップ事務局
担当: 小野間・平山
E-mail: saws@kodan.jp