2011年7月1日
星空公団
星空公団では、東京都内の星空の見えやすさを調査するため、デジタル一眼レフカメラによる夜空の明るさの連続モニタを2010年11月から行っています。このモニタ結果から2011年3月11日に発生した東日本大震災を境として、夜空の明るさが大幅に減少していることが明らかになりました。夜空の明るさは2011年2月の平均値と比較して40 %程度減少しています。これは節電により屋外照明などが消灯された影響であると考えています。
夜空の明るさの測定は、ユートリヤ すみだ生涯学習センター(東京都墨田区)の協力のもと、同センターの屋上に設置されたデジタル一眼レフカメラにより行いました。撮影データの記録には、カメラの撮影情報をほぼ加工なく出力できるRAW形式を採用しています。毎晩18時から翌朝6時まで、10分間隔で真上の夜空を撮影し、屋内に設置したパソコンでデータの分析を行いました。星空公団は伝統的七夕ライトダウン2011キャンペーンに協力し、夜空の明るさを現在も継続的に観測しています。
添付資料に、それぞれ2011年3月4日および2011年4月4日に撮影された東京の夜空の画像を示します。いずれの画像も同じ20時に撮影したものですが、3月4日に撮影した画像に比べ4月4日に撮影した画像のほうが明らかに暗くなっていることがわかります。
次に、2010年11月から2011年5月までの間に撮影した画像のうち、晴れていて、かつ月の光が邪魔にならない時間帯の画像から、天頂付近の約15°平方の平均的な夜空の明るさを測定し、その日々変化を調査しました。20時、22時および0時の夜空の明るさの日々変化を添付資料のグラフに示します。添付資料のグラフでは、2011年2月の20時における明るさの平均値(16.3等級/□”)を100 %としたときの明るさの相対変化を示しています。3月10日以前の夜空の明るさは、日によって多少変化はするもののほぼ一定の値を示していました。しかし、3月11日から数日後を境に、20時における夜空の明るさはそれ以前と比較して40 %程度減少しています。
これらの変化は停電が発生していない期間で起きています。また、20時の夜空の明るさの変化が最も大きく、22時や0時が小さいことから、夜空の明るさの減少は節電の広まりにより屋外広告などの照明が大幅に節約されたためであると推測しています。0時前後の時間帯では3月10日以前も不要な照明はほとんど消されていたため、3月11日以降も大きな変化はなく、一方で20時前後の時間帯では不要な照明が多く利用されていたものが、節電のために消されたため、このような変化が生じているのではないかと私たちは考えています。
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